2025年3月13日

開催レポート:第2回 女性とともに学ぶWell-being×DX勉強会 性差で生み出すサービス変革と地域企業のDX

「女性とともに学ぶWell-being×DX勉強会」、第2回は「性差で生み出すサービス変革と地域企業のDX」と題して、女性の目線を活かした事業創出にあたり、「ジェンダーギャップ(性差)」からのニーズの探求と、事業の変革に必要なDXの視点の掛け合わせについて、考える場を持ちました。ゲストには、しゅふコミ代表の横尾恵美さんをお招きし、子育てママの視点から見える商品ニーズを考えました。

【ゲストプロフィール】
横尾 恵美 (しゅふコミ 代表
福島県郡山市在住 二本松市出身 小学生2児の母
2011年結婚出産を機に東京からUターンし、孤独な育児を経験。【しゅふはスキルの集合体】という考えのもと、福島県子育て世代のコミュニティを立ち上げる。 現在は子育てバイブル(福島県内19市町村で母子手帳と配布中)の作成やイベント企画運営。2023年度より福島県農業短期大学校の講師も務める。

ジェンダーギャップとイノベーション
冒頭は、ファシリテータのエイチタス原から、DXに関する基本的な説明をしたのち、ジェンダー視点×DXの事例と解釈について、ミニ講義を行いました。積極的に性差分析を組み込んでいくことで、イノベーションと発見を実現するという「ジェンダード・イノベーション」という考え方や、女性特有の健康課題をテクノロジーの力で解決するための製品・サービスを指して、Femtech(フェムテック)という言葉が社会の変化を表しています。

また、別な視点から社会を見ると、いまの時代は自分の生活を自分で選択する社会であり、個人の選択肢が多様化したことは、すなわち従来の性別役割が解体されたことも意味するため、個人の選択肢を増やすために、ジェンダーに配慮した商品やサービスを提供することが重要だという考え方も成り立ちます。

国内でもシューズメーカーや飲料メーカーなどが自社の製品開発に女性のニーズを反映し、企画のプロセスや製品そのものの付随サービスなどで、デジタル活用を進める例が出てきました。個人化する社会の中で、あらゆる女性がその製品を “自分のためのもの” であることを理解できるための訴求していくのが、製品づくりにおけるジェンダーギャップの活かし方であり、「ジェンダーを意識したニーズの設定」と「ニーズへ高度かつ細やかに応えるためのデジタル活用」の掛け合わせが、重要であることがわかります。

このニーズ設定がDXの「X」(目指すべき変革)であり、デジタル活用が「D」(手段としてのデジタル)という捉え方になります。地域の企業もマーケティングの観点や、社内業務の整備や製品・サービスの実装などで、こうした視点を活かせるはずです。

子育てママからのニーズという視点
続いて横尾さんから、しゅふコミの活動紹介と視点の提供がありました。しゅふコミは、福島県郡山市を拠点に活動している団体で、出産前の妊婦さんを含む子育ての支援や、子育てママたちのスキルを活かし、社会ニーズに応えるサービス提供などを企業等に対して行っています。子育て支援については、子育て世代のママのための地域密着かつ実践的な情報を留めるためのメディア「こおりやま子育てバイブル」を発行しています。近年始めたこの取り組みは、郡山市を始めとする福島県内の多くの自治体で、母子手帳交付などに配布されるようになりました。

社会ニーズへの対応については、地元企業の商品づくりに子育てママの視点を活かすべく、ニーズ調査への協力を行っています。住宅メーカーの事例として、しゅふコミの子育てママたちの声を反映した家づくりの例を紹介いただきました。家事育児の導線を考え、意見やアイデアを出し合うことで、これまで気づきにくかったニーズが家づくりにも反映されたそうです。こちらは、郡山市に本社を置くウェルズホームとしゅふコミのコラボということで、"こういう家が欲しかった"を叶えた家としてリリースされ、好評を得ています。

実際にできた住宅については、ウェルズホームの以下サイトよりご確認ください。

\7/6〜7【郡山市下亀田】アーリーアメリカンの家&平屋風ホテルライクの家 2棟同時完成見学会開催/ ウェルズホーム株式会社ウェルズホームの\7/6〜7【郡山市下亀田】アーリーアメリカンの家&平屋風ホテルライクの家 2棟同時完成見www.wells-home-web.com

ジェンダー視点でのDXアイデア創出
横尾さんとのトークのあと、ジェンダー視点を取り入れ、DXも活用しながら新しい製品・サービスを生み出したい地域の企業の抱えているお悩みを解決するというテーマでアイデア創出の体験を行いました。参加者のみなさんには、複数名でグループになって、こちらで用意した5つの仮想ケースを選び、しゅふコミのような女性のネットワークを使って、ニーズの探求からサービス企画を考える方法や、DXによるサービス、業務の変革の実現について考えてもらいました。

農産物加工、温泉宿、カフェ、土産物店、生花店など、地域のビジネスをどう変革させるか、今回のテーマである女性視点でのWell-being×DXという観点で、実践的に考える機会となり、参加者のみなさんからは熱のあるディスカッションが起こりました。

本シリーズはこれで終了となり、次回は「DX課題解決スタディツアー」を開催します。